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現代武道の「なぎなた」において、実際に打ち込みをする稽古や試合を行うためには、防具が必須です。特に大会参加の際は、競技規定に従う必要があります。詳細は、「新なぎなた教室」や、「見る・学ぶ・教える イラストなぎなた」などの全日本なぎなた連盟が発行している教本で確認する事が出来ます。


なぎなた競技規定  第1章試合競技第9条  1981年初版、2026年改訂版、全日本なぎなた連盟   服装は、白の稽古着に白の帯を締め、黒または紺の稽古袴を着用する なぎなた競技規定  第1章試合競技第10条  1981年初版、2026年改訂版、全日本なぎなた連盟   防具は、なぎなた用の面・小手・胴・脛当を用いる。

防具の購入・使用は、他の服装と同じように、必ず道場の指導者の方とまずは相談してください。道場によってどの防具をどの時期から着けるかを指定していたり、安全上の確認の必要があったり、貸し出し・購入前の体験をしてくれる事もあります。 なぎなたモントリオールでは基本を大事にするために、4級程度で脛当・小手の使用を開始し、3級程度から全ての防具の使用を始めるようにしております。

防具の準備・装着・収納方法

なぎなた防具は、稽古の礼をする前に準備を整え、防具稽古をする時に素早く行い、稽古後にも手間取ることなく後片づけと手入れ、次回の稽古への準備を行う事が重要です。

準備

稽古開始前には、防具着装の準備を整えておく必要があります。 基本的に、防具を手に取ってすぐに装着できるような置き方を心がけましょう。また、脛当てを下から取ることで全ての防具を一度に持ち運べる状態が理想的です。 1. 道場の端で、道場の中心に向かって正座します。 2. 脛当の紐をほどき、右脛当を下、左脛当を上に、紐を二つの脛当の間に置きます。脛あての膝が手前に来るようにします。 3. 脛当の上に小手を置きます。奥が指に、手前が手首側になるよう、紐側は下にします。指は上に面を置いた時つぶれないように形を整えます。 4. 面を小手の上に置きます。頭頂部が奥に来るようにします。 5. 小手下手袋がある場合は、面の中に置きます。 6. 胴を面の向こう側にぴったりと置きます。この際、胴紐はほどいておき、絡まないように胴の内側の輪にかけるか、胴胸にかけるなどしておきます。 7. 垂の紐部分をほどき、垂を胴の向こう側にぴったりと置きます。紐は、面を囲うように一周回して、前で交差させ、余った部分を垂れの上部にひっかけます。 8. 手拭いを出し、面と垂れ紐の上に横向きにかけます(道場によっては面の中に入れる事になっている場合や、上に掛けるが横は見せずにしまう場合もありますので、出稽古などに行かれた際はお相手の道場の作法に合わせてください)。

装着

なぎなた防具を装着する際の順番は、垂、胴、脛当、手拭い、面、(小手下手袋、)小手の順になります。初心者で全ての防具が無い場合や、特定部位の稽古をする際に一部だけをつける事があっても、基本的には、この順番に座った状態で装着します。

この装着順番についての理由は教本等にも明確には示されていませんが、現代武道においては、一人で座った状態で装着するのに適しているため、道具を粗末に扱わず長持ちさせるため、立ったまま装着するのは礼儀に欠けるため、などの理由がよくあげられます。


尚、昔の侍が実際の甲冑装備をする際は、自分だけで装着するのではなく、何人かが手伝って立ったままで行う事が多かったと言われ、臑当(すねあて)、佩楯(きゃはん=垂)、満智羅(まんちら=肩の小具足)、籠手(小手)、袖、胴、兜、上帯という装着順が一般的だったため、現代なぎなたの防具装着順とは一致しません。 なぎなたでは、全ての防具を着けるのに3~5分を目安にする事が標準的です。素早く、かつ安全性を大事にして丁寧に、また稽古中に着けなおしの必要が出来るだけ出ないように装着する事で、無駄な時間を省いて、皆がお稽古に集中する事が出来ます。また、審査会では、通常防具無しの審査から始まって、その後に防具装着の指示が出ます。その際の手際の良さは、審査自体には直接含まれていなくても、審査員の方や他の受験者へ与える印象は大きく変わります。 繰り返し防具を装着・収納することで、急がなくても自然と無駄な動きを省けるようになり、落ち着いて稽古に望めるようになりますので、慣れるまで何度も練習してください。

防具の装着方法は、それぞれの詳細項目を参照してください。 1. 2. 3. 脛当 4. 手拭い 5. 6. 小手下手袋 7. 小手

収納

稽古の後、全ての防具を外したら、持ち運び用に一つにまとめる必要があります。 最近では、一つには纏めずに、防具袋にそれぞれ入れるだけ、という方もいらっしゃいますが、防具袋に入れるにしても、さっとまとめて全てを取り出せるのは便利ですので、方法は覚えておきましょう。ひとまとまりにしておけば、道場のロッカーや棚などに防具を置いておける時も、後の整理整頓や他の方が取り違えた時などでも崩れにくくなります。 手順や細かい結び方が変わる場合もありますので、道場の方針に合わせて、自分のやり方を見つけてください。どの方法を取るにしても、防具が傷まないような収納をする事が大事です。

一つに纏める方法の例

1. 面紐は中に入れるか、面垂れを面金側にまとめて面紐で面を結びます。 2. 脛当を、竹を中にして合わせて、左右の紐で上下それぞれ結びます。 3. 胴垂れの表側と胴の表側を合わせて、上側の胴紐で胴垂れと一緒に十文字に結わえて、胴の内側の中輪に通してから結びます。 4. #2の脛当を胴の内側に当てます。 5. 垂れの脇紐を胴胸の小胸にたすき掛けて、脛当をまとめて結びます。 6. #1の面を胴の中に入れ、小手をその左右に配置し、その上から下側の胴紐でまとめて結びます。

背負う形の防具袋に、防具を一つずつ入れる方法の例

1. 脛当を防具袋の背中が当たる側に入れます。竹を中にして合わせるか、竹が背中側に当たらないようにします。 2. 胴垂れの垂れ紐は、中央の大垂れを使って纏めるか、帯止めで巻いて纏めます。垂帯側を下にして、防具袋の背中が当たらない側に入れます。 3. 胴の胴紐は、中輪を使って中で絡まないようにします。胴は出来れば胴カバーを使います。胴を防具袋の胴垂れの内側に入れます。 4. 防具袋内にクッションとなるタオルや未使用の手拭いなどを敷きます。 5. 面紐は中に入れるか、面垂れを面金側にまとめて面紐で面を結びます。面は面布団を下にして防具袋に入れます。防具袋の形によっては面布団を下にすると、突き垂れが上部に入りづらかったりしますので、少し斜めにするなどの調整が必要になります。このとき、面金が底に直接ついてしまう事は出来るだけ避けましょう。 6. 小手を出来れば小さい小手袋に入れます。面の上か、空間が無ければ面の中に入れます。

手拭いや小手下手袋など、汗を多分に含んだ道具は、防具とは別の場所に入れて持ち帰るのがいいでしょう。 また、家に着いたら一度全ての防具をほどき、きちんと乾燥させるなどの手入れを行う事で、防具の寿命を延ばす事が出来ます。手入れが終わったらまた防具袋に丁寧にしまいましょう。


防具の歴史

現代なぎなたの防具は、基本的に脛当以外は剣道の防具に準じているため、主に剣道具の歴史をたどる必要があります。すべてが確実に立証されているわけではありませんが、代表的な記録をたどると、以下のようになります。

安土桃山時代(1573年~1603年)

新陰流(上泉信綱)などの一部の剣術流派では、袋竹刀(一本の竹を複数に縦割りして袋状の革をかぶせ縫い合わせた武具)が使われていたともされますが、一般には普及していませんでした。袋竹刀は、韜と書かれたり、別名では蟇肌竹刀(ひきはだしない)とも呼ばれていました。 この時代には、竹刀や木刀から身を守る道具は、まだ稽古には使用されていなかったと思われます。

日本剣豪譚(幕末編) P.13  1991年、著:戸部新十郎   当時稽古は木剣を持って師に形を学び、仕合(しあい)となれば木剣、または真剣で立ち合った。これでは生死を賭けた果し合いのようなもので、じっさい仕合で命を落とす記録が少なくない。伊勢守はこうした無益な死傷をなくそうとしたのだが、稽古法自体にも有用だった点は、後世の首唱者の意見に変わらない。 (...) 伊勢守一門はみな撓(シナイ)をたずさえて、廻国修行に出かけた。

江戸時代中期(1600年代)

この時期の剣術はまだ木刀稽古が主で、形をする以外にも実際に打ち込む試合形式となると、怪我が絶えませんでした。

延宝年間(1673~1681年)

直心正統流の高橋重治が、木刀の代わりに竹刀の原型となる道具を使い、小手などの体の一部を守る道具をつけて、稽古の際の怪我を防止しはじめたと言われます。

正徳年間(1711~1715年)

直心正統流の流れを継いだ、直心影流(鹿島神傳直心影流。直心影流薙刀術と直接の関係はないとされる)の山田光徳と長沼国郷(くにさと、通称を四郎左衛門)によって、竹刀、小手が改良され、面の原型が作られたとされます。

剣道事典―技術と文化の歴史― p.111  1994年、中村民雄   国郷は、父・山田平左衛門光徳とともに、道具を工夫・改良し、面・小手・胴・垂を完成させた

宝歴年間(1751~1763年)

一刀流中西派の中西子武(たねたけ、つぐたけ)が、鉄面を装着し、竹具足式の胴を使って、竹刀稽古の元となる、韜袍(とうほう)稽古を一刀流中西派に導入したとされます。

一刀流兵法韜袍起源  1861年(文久元年)、文:中西子正、出版:高崎藩士津田明馨   夫ソレ一刀流兵法ハ、(...)無為無心ノ体ヨリ、敵ノ業ニ随イテ太刀ハ自然ニ働クナリ。当流兵法ニ、敵ニ勝ツコトヲ修行セズ、専ラ我ニ当ラヌ事ヲ慥タシカニ知レバ、敵ニ勝ツ事ハ自ラ其中ニ備ル也。

天保年間(1830~1840年)

大石神影流の大石進種次が、突きへの安全性が高い横金13本の鉄面、竹腹巻、半小手、また現在の竹刀に近い四つ割り竹刀といった道具を使い始め、現在の剣道具の基礎になったと言われています。ただしこの頃、竹刀打ち込み稽古を行う8流派(一刀流、直心影流、鏡新明智流、柳剛流、新陰流、義経流、浅山一儀流、神道無念流)の内、面と小手は全流派で使用されていても、竹具足(胴)を着用する流派は半分の4流派(一刀流、直心影流、柳剛流、義経流)だけだったとあり、規格もまだ統一はされていませんでした。

神道無念流剣術心得書  1830~1840年(天保年間)、武藤七之介

安政年間(1854~1860年)

幕府が武芸訓練機関として設置した講武所により、竹刀や面、竹具足のある程度の規格統一が行われ、ようやくこの頃から、流派を超えて同じような物を使用するようになり始めたようです。

明治中期(1880年代)

明治以前は剣術の道具は「防具」とは呼ばれず、道具、具足、竹具足と呼ばれていたというのが通説です。「陸軍剣術教範」の初版に、初めて「防具」の記載が確認できますが、これはフランス陸軍教本の翻訳であったため、防具という言葉がこの時期にすでに使われていたかは不明です。しかし、後に改定された際、実際に剣道の「防具」を訓練に使用するように指定されているので、この時期から「防具」の用語が使われるようになったのではないかという説があります。

陸軍剣術教範  1889年(明治22年) 剣術教範改定  1894年(明治27年)

昭和初期(1930年代)

第二次世界大戦以前、薙刀でも試合稽古が存在し、現在の形状とほぼ同じ脛当を着けていた事が確認されています。ただし、この時期の試合稽古は薙刀対剣術であり、その際は剣術側も脛当を使用していました。「大日本薙刀道教範」で写真を見る事が出来ます。この時代の脛当は黒漆を塗らず、竹をそのままつけていました。

大日本薙刀道教範  1939年(昭和14年)、著:美田村邦彦

第二次世界大戦後(1945年~1951年)

戦後は武道が禁止されたため、剣道は撓競技(しないきょうぎ)となり、防具は代用品の使用が必要になりました。薙刀はこの期間、基本的に稽古することが出来ませんでした。

全日本剣道連盟創設(1952年)

剣道復活を経て、防具が再び正式に剣道具として使用されるようになりました。

全日本薙刀連盟発足(1955年)

ここまで、薙刀は剣道連盟の一部として活動が行われていましたが、薙刀連盟として独立する事になり、なぎなた防具の基本的規定もここで制定されることになりました(連盟名は後にひらがなの「なぎなた」に変更されます)。



は、頭部と咽喉部の保護具です。 面防具と呼ばれることもあります。 剣道用の物をほとんどの場合はそのまま使用できますが、細部で違う規格もあるため、できればなぎなた専用の物を用意してください。 昔の兜は一頭(ひとかしら)、一刎(ひとはね)と数えていましたが、面防具の数え方はあまり定着しておらず、一つと数える事が多いようです。

構造

面は、面金に内輪と顎を付けた後、一枚の面布団を丸めて面縁と閂で縫い付けて作り上げています。

面乳革で面金と面紐を繋いで、面紐で面を結べるようにします。

面金

面金(めんがね)とは、金属の格子で顔を保護する部分で、顔の膨らみに沿うような湾曲した形状になっています。材質としては、鉄、洋白、軽合金、チタンなどがあります。 外周の赤い部分は台輪と呼ばれ、多くは漆などで赤く塗られています。これは、昔の錆止めの名残だとも、赤が視野を広げる効果があり、面金を通して相手を見ても中の相手の顔が良く見えるようになるからだとも言われています。台輪は藍色や黒の事もありますが、一般的には赤が推奨されています。


金属の格子は、中金縦金、中ひご)が縦方向に1本、横金横ひご)が横方向に、子供用は13本以下、大人用は14本、頭が特別に大きい方用の特注品では15本で構成されています。横金の間隔は、突きの事故を防ぐために、剣道の竹刀やなぎなたの切っ先が絶対に入らない幅であることが必須になっています。


物見

物見(ものみ)とは、面金の6本目と7本目の間の事です。他の間隔と比べてほんの少し広くなっていて、この部分に目線を合わせて視界を確保します。 子供用は5本目と6本目の間になっています。

面縁

面金と面布団の接続部を覆う部分は面縁(めんふち・めんぶち)と呼ばれ、通常は水牛の革が用いられています。

内輪

内輪(うちわ)とは、面の内側にある、面金を取り巻くように土手状になった部分の事です。 顔に直接あたる部分で、木綿・ビロード・シルリード・テトニット(抗菌素材)などが使用され、基本的には他の部位よりも柔らかく、なめらかにされています。 額に当たる部分を(てん)、顎を乗せる部分を(ち)と呼びます。

面布団・刺し子

面布団(めんぶとん)・刺し子(さしこ)とは、肩から頭頂部までの部分の事です。藍染めの木綿生地は紺反(こんたん)と呼ばれ、糸で刺繍して強度を作っています。 布団部分は、仕立て方法(番手、芯材、刺繍の間隔、手刺し、ミシン刺し、織刺しなど)により、性能や値段に大きな違いがでます。 頭頂部の面布団は、面の打撃を受け止める大事な部分です。

面垂れ

面垂れ(めんたれ)とは、面布団から肩に伸びている部分の事です。


なぎなたでは、面垂れ部分はナナメ刺しで、肩幅よりも長すぎない短めの物を使います。半身で左右に顔を振ることが多く、機動性を確保するために剣道面とは別基準になっていますが、最近では剣道でも動きやすさを追求して、なぎなた面を使用する方もいるようです。面を初めて使用する際は、面垂れはまっすぐで折り目がついておらず、動きに制限がかかるかもしれません。自分の体形に合わせて、しっかり折り目をつけましょう。


現在では残念ながらほぼ存在しませんが、過去には垂れの後方は肩を保護するために長いまま、前方のみが短くなっている物がなぎなた専用に作成されていたようです。

また、面垂れの後方下部には、角革(すみかわ)・飾り革(かざりかわ)という、相手とすれ違う際に面垂れが擦れて壊れないように補強している革が施されている事もあります。

突き垂れ・顎・顎垂れ

突き垂れ(つきたれ)・(あご)・顎垂れ(あごたれ)とは、面金の下にある、突きを受ける部分の事です。


突き垂れの内側には、内垂用心垂れ)がある二重構造になっていて、衝撃を出来るだけ和らげるように強固になっています。刺し子が他の部分よりも入っている事や、特別な意匠になっている事もあります。銃剣道では幅の広い垂れを使いますが、なぎなたでは剣道の突き垂れと同じ幅の物を使います。


現在なぎなたでにおいての突きは、突き垂れに対する、切っ先による技のみが有効となっていますが、1990年代までは石突による突きも有効でした。刃部側の竹部からの突きと比べて、石突側の木部からの突きは衝撃が強く、当時は対策としてなぎなた用の面では突き垂れの追加補強が行われていた事もあるようです。現在でも異種試合などでは石突きによる突きの使用許可が下りる事があります。異種試合や上級者同士の稽古で石突による突きの機会がある方は、突き垂れの強度にも注意を払った方がいいでしょう。

(かんぬき)とは、面布団と突き垂れを繋いでいる部分の事です。 閂を閉じる部位には耳革力革・顎止め革)があり、合皮・紺革で補強されています。

面乳革

面乳革(めんちかわ、めんちちかわ)・乳革(ちかわ、ちちかわ)とは、面金に紐をつける部分の事です。 規定上は乳革がなくても違反ではないため、面金に直接面紐を付けられる方もごく稀にいらっしゃいますが、安全上と耐久性を踏まえて基本的には乳革で面金と紐を結んでください。

面乳革の種類

紐の着け方(上付け・下付け)により、使用する乳革の種類が変化します。


1. 上付け用の乳革

両端にそれぞれの紐を通す穴と中央に乳革を通す穴が一つついている物を1本使用します。 最上部の面金中央部に、巻きつけるように入れ、中央の穴に乳革を通して左右に出し、紐を両端に結びます。

2. 下付け用の乳革

紐を通す穴が両端についている乳革を2本使用します。 面金の下から3番目(面金が13本)、4番目(面金が14本)、5番目(面金が15本)に装着します。 引っ張られたときに捻じれがないように、表裏をうまくつけるようにしてください。 また、横金への乳革の装着は、2種類あります。乳革の縫い目が両端共に下に向く方法(横金の奥まで見えます)と、縫い目が内側は上に外側は下に向く方法(横金の端は乳革で隠れます)です。好きな方を選んでください。

面紐の面乳革への通し方

面紐の面乳革への通し方は主に2種類存在しますが、どちらも最終的に乳革と紐が一直線になるように注意し、隙間が出来て緩んだり動かないようにしてください。


1. 紐の輪が乳革の裏側に出る方法

紐の輪になっている部分を乳革の穴に通し、もう一方の紐の端を紐の輪に通して引っ張ります。


2. 紐の輪が乳革の表側に出る方法

紐の輪を、乳革の両端一緒に通し、もう一方の紐の端を乳革の穴に通して引っ張ります。

乳革の意匠

面乳革には、トンボや桜、波など、様々な意匠が施されることがあり、最近は色の種類も豊富です。基本は自由に選んで大丈夫ですが、大会によっては華美な物の使用を控えるよう通達が出る事もありますので注意してください。


面紐

面紐(めんひも)とは、面を装着する際に頭を縛るのに使う、藍染された綿の紐の事です。

上付けでは8尺(2.42m)、下付けでは7尺(2.12m)の紐が必要になります。松竹梅優良可で耐久性の差を示されていることが多く、松か優が最上級となり、硬く切れにくくなります。


有効打突部位

なぎなたでは、面防具における有効打突部位は、正面、左右の側面、咽喉です。

正面

正面(しょうめん)は、面中央の有効打突部位の事です。 基本的には面布団の付け根から深く入りすぎない場所(面布団前部の半分程度まで)が有効範囲で、面金は無効とされますが、なぎなた試合審判規定には明記されていません。試合中は競技者の身長差に対する考慮や、互いに動きがある中での判断が必要となるからですが、面金に物打ちが当たると音が違いますので、音で判断される事もあります。 面金に打撃が当たり続けると、表面の加工が剝げる事がありますので、その際には手入れが必要になります。

側面

なぎなたの左右側面(そくめん)は、正面からの角度25°から30°が有効で、紐の位置の内側がおおよその有効打突になるようになっています。 紐の角度が狭いと、紐より下の打撃を受けた時に衝撃の分散がうまく出来ないため、左右の紐をつける時は、正面よりそれぞれ30度付近になるようにします。 正面と同じように、基本的に面金は有効ではなく、面布団の付け根から深く入りすぎない場所(面布団前部の半分程度まで)が有効範囲になります。

咽喉

現在なぎなたでにおいて突きは、咽喉(いんこう)に対する、切っ先によるのみが有効となっています。 面金との接続部分の下から、最下部の飾りまで、およそ10~12cmの突き垂れ全体が咽喉とみなされます。 中段より繰り出す直突きが基本となりますが、下より繰り込んで放つ技も存在するので、どの位置から突きが来ても、突き垂れと胴でしっかり咽喉部と胸元付近を保護できるようにしてください。カナダ連盟による、カナダ国内の試合では繰り込み突きは禁止になっております。


また、1990年代までは、突き垂れへの石突による突きも有効でした。刃部側の竹部からの突きと比べて、石突側の木部からの突きは衝撃が強く、現在では禁止されています。1992年発行の「なぎなた入門」には試合規定の有効打突として石突からの咽喉突きが含まれています。この関係で、当時は対策として突き垂れの補強が行われていた事もあるようです。


現在でも異種試合などでは使用許可が下りる事もあります。異種試合や上級者同士の稽古で石突による突きの機会がある方は、突き垂れの強度にも注意を払った方がいいでしょう。



なぎなた競技規定  第1章21条.打突部位  全日本なぎなた連盟

  面   正面(中央)       左右側面(中央から25°~30°の間)

  咽喉 咽喉(高校生以下は禁止)

基本を学ぶために⑩ なぎなた入門 p.151

 なぎなた競技規定集、第19条、有効打突  発行:1992年、著:徳永千代子、この後に咽喉の規定は改定されている

  打突の部位 なぎなたの打突部     面の部     切っ先から15cm~20cmのところ(物打)   咽喉の部   切先および石突


装着

面の装着は、脳震盪などの事故を防ぐために、防具の中でも特に安全を期して行う必要があります。

装着手順

1. 手拭いを着けます。 2. 片手で面、片手で紐を持ち、後ろからほぼまっすぐに顔を面に入れます。この時顎が内輪の地にしっかりはまると同時に、額も内輪の天に当てられている事が重要です。 3. を結びます(詳細は後述)。 4. 面垂の後ろを左右に少し開き、空気が通るようにします。 5. 手拭いがまだ整っているか確認します。

面紐の結び方

面紐の結び方には、代表的なものとして上付け下付けの二種類があります。乳革の種類や面紐の長さが違うので、どちらかを選ぶ必要があります。 なぎなたでは伝統的に上付け(関西結び)をされる方が多かったようですが、最近は下付け(関東結び)をされる方が多くなっています。

上付け・関西結び

上付け・関西結びは、面紐を上から着ける方法です。 両端にそれぞれの紐を通す穴と中央に乳革を通す穴が一つついている面乳革を面金の最上部につけて、8尺(2.42m)の面紐を使用する必要があります。 上付けは昔京都の武道専門学校で教えられ学ばれた先生方の結び方に由来していると言われ、剣道・撃剣が荒稽古であった頃、相手を転がした後に面剥がしをすることで一本になっていたことから、剝がされにくいような結びになったという説もあります。

関西結びは正式名称ではなく、関東でも上から着ける方法を使われる先生や道場もあります。


1. 面の上部中央から、面紐を左右に後ろに回し、後頭部中央で交差させます。

2. 後頭部から前へ、顎の前で交差させます。この線は面のナナメ刺しの境目に沿うようにします。

3. 顎の前から後ろへ、後頭部中央で交差させます。

4. 後頭部から前へ、面金最上部の中を左右から逆側に通します。

5. ここまで、紐が緩んでいないか確認します。

6. 面金最上部から後ろへ、後頭部中央で蝶結びにします。

7. 紐の余りと蝶結びの輪の左右の長さが全て同じであるように調整します。面の前に回して長さを確認し、左右に勢いよく2、3回ほど引っ張って締めます。

8. 紐が捻じれていないか、途中で重なったりしていないか触って確認します。

9. 特に#2の紐が緩くないか確認します。指が簡単に隙間に入ってしまうのは緩すぎるので、結びなおす必要があります。

結びに慣れてくると、簡略化した方法も使われることがあります。

#1から#4までを装着前に準備しておけば、後ろの交差した紐の下から頭を通して残りを素早く完了させる事が可能です。

下付け・関東結び

下付け・関東結びは、面紐を下から着ける方法です。 紐を通す穴が両端についている面乳革を、面金の下から3~5番目(3番目=面金が13本、4番目=面金が14本、5番目=面金が15本)につけて、7尺(2.12m)の面紐を使用する必要があります。

関東結びは正式名称ではなく、現在では剣道も含めてこの結び方が最も一般的に使用されています。 1. 左右乳革が面金の端に来ている事を確認します。 2. 左右乳革から伸びる面紐を左右それぞれ後ろに回し、後頭部中央で交差します。この線は面のナナメ刺しの境目に沿うようにします。

3. 後頭部から前へ、面金最上部の中を左右から逆側に通します。

4. 左右両方の乳革が、しっかり横に引っ張られているか再び確認します。乳革が面金の横方向に簡単に動くようであれば、紐を引っ張って調整します。

5. 面金最上部から後ろへ、後頭部中央で蝶結びにします。

6. 紐の余りと蝶結びの輪の左右の長さが全て同じであるように調整します。面の前に回して長さを確認し、左右に勢いよく2、3回ほど引っ張って締めます。

7. 紐が捻じれていないか、途中で重なったりしていないか触って確認します。

8. 特に#2の紐が緩くないか確認します。指が簡単に隙間に入ってしまうのは緩すぎるので、結びなおす必要があります。

結びに慣れてくると、簡略化した方法も使われることがあります。

#1から#3までを装着前に準備しておけば、後ろの交差した紐の下から頭を通して残りを素早く完了させる事が可能です。



面の装着における注意点

面を装着しはじめてしばらくは、先生や先輩と一緒に確認を行う事が推奨されます。また、試合や審査の際にも、自分で見えない部分は、失礼のないよう他の競技者の方に確認をお願いする事もあります。

顎と額の位置

顎と額がきちんと面にはまるようにし、稽古時簡単に外れないようにします。 稽古中に面が動くのは、自分が動きにくいという意味でも、打たれた時に変な力のかかり方がするという意味でも、大変危険です。

頭頂部の空間

頭の上に余分な空間が無いようにします。 空間があると、脳震盪を起こす可能性が高まるため、かならず避けましょう。打突を受けた時の面への衝撃と、面が頭を打つ衝撃で、一撃が短時間の二連撃のようになってしまいます。空間が出来る場合は面を交換するか、吸収材を挟むなどの対策が必要です。

物見と目線

物見に目線がきちんと合うようにします。 上下左右に素早く動くなぎなたを視界できちんと確認できるように、目線は物見の高さにしっかりと合っている必要があります。視界が遮られていると、自分や稽古相手の安全にも影響します。

突き垂れと胴胸の重なり

突き垂れが胴胸の上に重なるようにします。 剣道と違い、なぎなたでは面と胴の隙間を出来るだけ小さくし、突き垂れは胴胸の上で左右に滑るようにするのが一般的です。これは、半身からの持ち替えで面の方向が逆側に動くため、胴胸の丸みの中に突き垂れがあると、胴の中に挟まってしまう可能性があるためです。

紐の結びの高さ

面紐の後ろの結びは、物見と同じ高さにします。 紐の高さが高かったり、低すぎたりすると、衝撃の分散がうまくいかない他、面に偏りが出来て、稽古中にこめかみや首が痛くなったりします。

紐の横の高さ

耳の真上には紐を通さないようにしましょう。 耳の上に紐が通っていると、打撃を受ける際に、衝撃を上手く吸収できなかったり、音と振動で鼓膜に損傷を与える可能性があります。

紐の角度

左右側面上の紐は正面よりそれぞれ30°付近になるようにします。 なぎなたでは、左右面は正面からの角度25°から30°が有効となっています。紐の位置の内側がおおよその有効打突になり、この角度が狭いと、紐より下の打撃を受けた時に衝撃の分散がうまく出来ません。

紐の結び方

紐は固結びにしてはいけません。 脳震盪などが起きて救護が必要になった時に、周りの人が紐をとっさにほどけるようにする必要があります。 また、蝶結びは横向きになるようにし、縦向きになる事を避けましょう。横向きがうまくできず、縦向きになってしまう場合は、一回目の結び目の下になっている方のひもで輪を作りましょう。単純に初めの輪を、今やっている逆側で作るとおそらくはきちんと結べるはずです。縦向きで結ぶと、ほどけやすくなるため、気を付けてください。

面垂れの形

面垂れは、下側が巻き上がりすぎないようにしてください。 八相や振り上げの際に邪魔になるせいで、クルクルと下側から巻くようにしている方を見かける事がありますが、これはタコ面と呼ばれてあまり指導者からは好かれない傾向にあります。 面垂れは前から見て富士山のようになり、面垂の前方で肩をきちんと保護する必要があります。 基本的になぎなたの面垂れは、動きに合うようにすでに短くなっているので、巻き上げる必要がないように自分に合った面をきちんと選ぶようにしましょう。


面を外す際の手順

上付き、下付きの結び方どちらでも、基本的には外し方は同じです。

1. 結び目の部分を前に持ってきて解きます。

2. 片手に紐をまとめます。

3. #2の手で紐を持ったまま面を抑えて、もう片方の手で面を外します。この際手拭いを頭から失わないようにします。

4. まっすぐ並べた小手(剣道と違い、横並びではありません)の上に、面垂を面金の前に巻いて小手を抑えるように置きます。

5. 紐が面の上部中心線を通るように中に入れます。

6. 手拭いを面の中に入れます。


収納

面を長持ちさせるために、稽古が終わって収納する時には、紐、内側の顎、額、耳、首元の部分などから、サッと汗を拭きとる癖をつけましょう。 家に帰ったら、紐は一度必ずほどき、風通しの良い所で陰干ししてください。乾燥し終わって収納する時には、次にすぐ使えるよう、紐が絡まないように気を付けます。 初めて使う時には、面垂れの折り目と癖をつけてあげるために、面垂れを両側から中央に向かって折りたたみ、面金の前で紐を使って縛る事もあります。

手入れ

防具の中でも面は、稽古後の汗を拭きとる手順を怠ると、劣化や匂いの悪化が非常に速い部位です。日々の手入れを怠らず、稽古が終わって収納する時には必ず、紐、内側の顎、額、耳、首元の部分などから、汗を拭きとるようにしましょう。家に帰ったら、紐は一度必ずほどき、風通しの良い所で陰干ししてください。

基本的な洗浄

面は、稽古後の汗の拭きとりを怠ると、雑菌がわいて、すぐに匂いが出てきます。しかし、金属、革、紺反と様々な素材が組み合わさっており、洗いにくい道具でもあるため、手入れには非常に苦労します。


日々の基本的な手入れだけで間に合わない汚れは、濡れた手拭いで縫い目に沿って軽く拭いて、柔らかい歯ブラシなどで汚れを落とした後、乾いたタオルで水分を拭き取りましょう。


どうしても汚れや匂いが落ちない時は、冷水に1時間ほどつけ置きして、乾燥をしっかり行う事でどうにかなる事もありますが、藍染めの部分は色落ちが起こるので注意してください。

台輪・面縁の色

台輪の赤い部分・面縁の黒い部分の塗装が落ちてきたら、日本の防具店では洗浄修復を受けている場所もありますが、自分で塗りなおす事も出来ます。 1. 防具専用の黒と赤のカシュー塗料(油性漆塗料)、細い筆、カシュー薄め液、毛の硬い小さめのたわしかブラシ、マスキングテープを準備します。 2. カシュ―は手につくと落ちにくいため、薄いゴム手袋を使用するか、塗りなおしが終わった後に薄め液で落とす必要があります。 3. 毛の硬い小さめのたわしかブラシで、剥がれかけの塗装を除去し、表面を整えます。 4. マスキングテープで面金、台輪周辺の面布団を保護します。 5. 赤カシューを使用して台輪を細い筆で塗っていきます。薄く塗ると凹凸ができやすいので、気持ち厚めにして均一になるようにしてください。また、カシューは固まりやすいため、塗る作業は一気に行い、容器の蓋は作業ごとにきちんと閉めてください。また、筆は作業後すぐに薄め液で洗浄しないと毛が硬くなって使用できなくなります。 6. 最低数時間をかけて、完全に乾燥させてください。マスキングテープに塗りが重なっている場合は乾かす前に一度剥がして、乾燥後に貼りなおしてください。 7. 乾燥後に、黒カシューを赤の部分に重ならないように塗ります。 8. 二度か三度、重ね塗りをしてください。 9. 最後の塗装から、最低24時間は乾燥させ、使用前には色が落ちてこないかきちんと確認してください。

面布団の藍染め

面布団の藍染めが色落ちしてきたら、日本の防具店では面布団の洗浄修復を受けている場所もありますが、自分で藍に染めなおすことも出来ます。 1. 防具専用の藍染復元液と、はけを用意します。 2. はけを使って面布団全体にまんべんなく塗ります。一部だけ色落ちしていても、全体を塗りなおすことでムラを防ぐ事が出来ます。 3. 直射日光を避け、風通しの良い場所で陰干しします。

面布団の損傷

面布団の糸がほつれていたり、穴が開いていたり、面金との継ぎ目が緩んでいたりする場合は安全性に問題が有りますので、直ちに修理をお願いするようにしてください。

面金表面の損傷

面金の金属の表面が剥がれてきてしまった場合、素材と仕上げ方法により手入れの方法が変わります。 面金の上に「ジュラ」と書かれている場合は、ジュラルミン・アルミ製で、通常表面はアルマイト加工になっています。この場合は全てのアルマイトを落としてジュラルミンの地を直接磨き上げるか、専門店で再加工してもらう事になりますが、この再加工には金額がかなりかかりますので、普通は手で磨き上げる事になると思います。耐水研磨紙を使って、荒い番手から細かい番手に少しづつ磨いてください。 面金の上に「チタン」と書かれている場合や、何も書かれておらず鉄製である場合は、バフ研磨をする事が多いかと思われます。バフとは、綿やフェルトなどでできた円盤状の道具の事です。バフに研磨剤を付け、高速回転させながら素材表面に押し当てて、傷を除去していきます。 研磨の経験がない場合、道具が無い場合は、防具店に一度相談してみるのもいいでしょう。

紐の劣化

紐に汗の塩が出てきて固くなったり白くなってしまった場合は、面から取り外して洗濯しましょう。 また、ほつれが出てきた場合は切れる前に補強するか交換してください。


なぎなたモントリオールでは

上付け、下付けどちらも使用しています。頭の形によっては、別の付け方をすることで、面をつけている際の極端な締め付けの緩和や、衝撃吸収の改善に繋がることがあるので、防具稽古をしていく上で自分に合ったものを選ぶのがいいでしょう。


手拭い

面単体では後頭部を保護できず、頭髪に接する面の内部が汗や皮脂によって劣化しやすくなるため、それらを補うために、手拭いを面の下に使用することなっています。 面手拭い面下面下手拭い面タオルなどの呼び方をされることもあります。

構造

手拭いは、簡素に言えば一枚の布です。

生地

手拭いは木綿を生地にすることが殆どです。通常は平織といって水平方向に縦糸横糸が交差して出来ています。 使い続けて何度か洗濯すると、端にほつれが自然と出てきますが、この構造のおかげで、交差以上にほつれが大きくなっていくことはあまり起きません。このほつれはむしろ乾きを助け、水分がたまってカビや雑菌が繁殖するのを防いでくれるため、端は絶対に縫わないでください。

大きさ

剣道・なぎなた用の手拭いの多くは33-36cm x 100cmになっています。 特に規定はないので、自分の頭に合わせて選んでください。 ただし自分の一般的な和手拭いの大きさ(32cm x 90cm程度)だと、頭に巻ききれない事が多くなるため、できれば長さ100cm以上の物を選びましょう。

色・柄

柄に関しては、昔は白地や無地が主に使われ、絵柄物や派手な色は避けられていたようですが、現在では様々な物が使われているかと思います。面の後ろに見える部分が武道にあまりにも不適切でない限り、基本的には自由に選んで大丈夫でしょう。

真っ白な綿の生地そのままの物です。晒帯と同じように、緊急時に裂いて応急手当に使う事があるという意味では、真っ白な物が最も適しているのかもしれません。

無地

晒物を、藍などで染めた単色の物です。

白地

晒や無地の中央や端に、動物、植物、家紋、道場紋、学校章、会社章などを描いた物です。

半染め

真ん中で斜目に半分染められた物です。

総柄

伝統模様(トンボ柄、菖蒲柄、青海波、麻の葉、千鳥、亀甲、石畳、松竹梅)などを全面に配した物です。

文字入り

武道に関連する三字・四字熟語や、般若心経、心意気・心構え、道場指針など、面をつける前に手拭いの文字を読んで心を集中させるのに適した物です。

プリント

製造元によっては、自由な絵や写真を手拭いにプリントする事も出来ます。色が何色によって値段が変わることが殆どで、単色、2色、3色まではほぼ同じですが、それ以上になるとかなりの値段になります。 また、染めているわけではなくプリントするだけなので、片面印刷が基本になる他、洗濯で色が簡単に落ちたりする短所もあります。

記念品

大会などの記念品として特別な物が制作される事があります。大会名、ロゴ、結果などが他の絵柄と一緒に印刷されます。


着け方

なぎなたの手拭いには主に3種類の着け方があります。似通っている方法でも多少の差異が出ますので、練習しているうちに自分のやり方が固まってくるかと思います。 大事なのは、稽古中に手拭いが動かない事、後頭部が隠れている事、目線が隠れない事、汗が変な位置に垂れるような着け方をしない事、そして手拭いの端は面の後頭部から見えない事です。 また、主に女性で長い髪の毛をお持ちの方は、手拭いをつける前に髪を御団子状態にして、出来るだけ全ての髪の毛を手拭いの中に入れるようにしてください。長い髪の毛が後ろに流れると、面紐と絡まる可能性があります。

帽子型

帽子型は、初心者着け子供用の着け方、などと呼ばれることもあります。別名通り、初心者や子供の内は結ぶのに時間がかかったり、頭の大きさが合わず結ぶのが難しかったりするためこの方法を用いる事がありますが、慣れてきたら前交差か後交差に変えましょう。 1. 手拭いを広げて、自分に対して横向きに置きます。

2. 縦を半分にして折ります。

3. 右およそ三分の一で斜め45度に左上(内側)に折ります。

4. 左およそ三分の一(残りの半分)で斜め45度で右上(内側)に折ります。

5. この時点で横幅が頭の大きさになるようにしておきます。

6. 表裏をひっくり返します。

7. 手前で余っている部分を左右それぞれ内側に折り込みます。

8. 手前の交差している部分を上に返し、台形の内側に折り込みます。

9. #8で折り込んだ所に頭を入れます。後頭部が薄く、前方は厚くなっているのを確認します。

前交差型

前交差型は、一般形基本の着け方、などと呼ばれることもあります。この着け方では、耳を隠しません。 1. 手拭いは上を下に、手前を裏にし、両端を持って目の前で広げます。

2. 手拭いで前髪を上げるように後頭部に被せていきます。この際、長い髪の毛でお団子にしていた時は、お団子の下にしっかり引っかかるようにします。

3. 後頭部に引っかかったところで、前に両手を出します。

4. 持ち手を交差させ、右手で持っている場所を左手に、左手で持っている場所を右手に持ち替えます。

5. 左右に引っ張って締めなおします。外側の手拭いで内側の手拭いを抑えます。

6. 内側の手拭いを持っていた手を離し、顔の前に残った部分を頭頂部から後ろ方向に引き上げます。

7. あまった手拭いが面の後部からはみ出ないように、内側に折りたたみます。

後交差型

後ろ交差型は、巻き付け型上級巻き口掴み着け関西着け、などと呼ばれることもあります。地方によって様々な呼び方があるようです。この着け方では、耳が隠れ、後頭部のかなり下の方までを手拭いで覆います。 1. 手拭いは上下正しく手前を表にし、両端の上部を持って目の前で広げます。

2. 中央下部分を口でつかみます。

3. 上に引き上げながら、後頭部に両手を回します。

4. 後頭部で左右を交差させ、左右の手を持ち替えます。

5. 左右を前方に引っ張り、おでこの前で橋を重ねるか、ねじり込みます。ここで固く結ぶ方もいらっしゃいますが、大きなこぶが出来ると、面を受けた時に眉間に衝撃が加わるので、できれば避けてください。

6. 後頭部と頭頂部の手拭いがなめらかになるように整えます。

7. 後部の布が余っている場合は、前に引っ張って頭の形に合うようにする事もあります。

8. 重ねている部分を片手で抑えつつ、口で掴んでいた部分を離します。

9. 口で掴んでいた部分を巻き上げます。

10. 耳が隠れるように整えます。


置き方

稽古前(手拭い使用前)には、面金を下向きに小手の上に置いた面に被せる様に置く事が多いですが、胴の外側に被せる場合と、内側にして、上部以外を見せないようにする方法があります。道場では出来るだけ他の方と同じ方法を用い、統一感を示しましょう。 一度使用した後に関しても、汗が付いていますから他の方に見せるようなものではなく、面の中に入れるべきと考えられる先生と、衛生面を考えて(特に一度休憩してもう一度稽古を行う場合など)、広げることで風通し良く汗を乾かすべきと考えられる先生の両方がいらっしゃいます。道場の方針やその場に応じて選んでください。 面の中に入れる場合は、ぐしゃぐしゃに入れるのではなく、きちんと八ツ折りなどにして綺麗にしておきましょう。

手入れ

生地・構造でも言及しましたが、端にほつれが出ても縫わないでください。糸がだらしなく伸びてしまっている場合は、余った分をハサミで切っても大丈夫ですが、ふさのようになっている部分に直接ハサミを入れると、そこからまたほつれが始まります。 洗濯には洗濯機を使用しても大丈夫な事が多いですが、手洗いのほうが長持ちします。風通しの良い場所できちんと乾燥するまで陰干ししてください。 保管には、折りたたむ方法の他にも、折り目を付けないために芯を使って丸く巻いて置く方法もあります。


は、胸から腹部の保護具です。 古くは、竹具足竹防具竹胴などと呼ばれていました。 胴も、剣道用の物をほとんどの場合はそのまま使用できますが、細部で違う規格もあるため、できればなぎなた専用の物を用意してください。 また、胴は他の防具と違って、規定などによる制限も少ないため、かなり自由な色や装飾を選択できます。個性が出る・出せる場所と言えます。 胴は伝統的には一枚と数えますが、一つ、一台と数えられることもあります。

構造

胴胸と胴台、4本の胴紐で出来ています。

胴胸

胴胸(どうむね)とは、硬い芯材を牛革か鹿革で覆って出来ている、胴の胸の部分の事です。胴胸上部左右には、胴乳革・胸乳革・紐通しと呼ばれる、胴紐を結ぶ輪がついています。


胴胸の選択には、なぎなたでは特に胸部の大きさと形に合うよう、時間をかけた方がいいでしょう。性別に関わらず、脇部分に関しては腕の付け根を出来るだけ空けないものを選んでください。他にも擦れが出来ないように、胴台の高さの調整や、胸の取り付け角度を工夫したりという事も必要になります。 胴胸は、仕立て方法(番手、芯材、刺繍の間隔、手刺し、ミシン刺し、織刺し、鹿革仕立て、牛革仕立て、黒桟革仕立てなど)により、性能や値段に大きな違いがでます。

胴胸の強度

胴胸は、現在なぎなたと剣道では有効打突部位には含まれていませんが、何らかの打突が外れて当たった時のために、胴台と同じように衝撃吸収力が必要です。


過去の話になりますが、胴胸の強度が今以上に必要だった頃もあります。 なぎなた

なぎなたでは1990年代まで、面の突き垂れに対する石突側の突きが有効で、木部から放たれる強烈な突きが、胴胸に外れる警戒をする必要がありました。

剣道 剣道では、現在の試合においては反則になりますが、昭和54年~平成7年(1979~1995年)の17年間、胴胸への突き技が上段及び二刀流に対して認められていました。


銃剣道 銃剣道では、胴突きは現在も主な技の一つですが、肩を装着した時に胴の上に胸部が同時に覆われるようになっているので、胴胸単体ではそこまでの強度は必要ないかもしれません。


短剣道 短剣道では、胴胸に対する胴突きが現在も有効ですが、的に当たっていれば他の競技に比べれば衝撃自体は大きくはないので、脇下が空きすぎていない事の方が大事かもしれません。

中輪

胴胸内部中央の胴台との接合部付近には、中輪(なかわ)と呼ばれる乳革が一つ付いている事が多いですが、これには様々な使い方があります。

1. 防具をまとめるのに使います。垂れを畳み胴の表につけ、胴の内側に面と小手を収納し、面紐をこの胴の輪に通して小手に通して全部縛り上げると一括りになります。脛当は一緒に縛ることもありますが、別にすることが多いかと思います。

2. 吊るして乾燥させるために使います。昔の道場では、壁にひっかけ鉤があり、防具をまとめた後に胴内側の輪をかけて吊るしていました。通気性が良くなり、雑菌が繁殖しにくくなって乾燥しやすくなります。

3. 稽古前に防具を準備する際、紐がだらしなく外に出たり、絡まるのを防ぐのに使う事があります。

4. 勝利願掛けのお守りを掛けるのに使う事もあります。

小胸

胴胸の脇下の部分は、小胸(こむね)と呼ばれ、脇腹部分を保護するためにあります。小胸に1~3本入れられた飾りは(あし)と呼ばれます。子供用の胴には大きさによっては小胸がない事もあります。


胸飾り

胸飾り(むねかざり・むなかざり)とは、胴胸に施してある刺繍の事です。


胸飾りは様々な意匠が存在し、胴を付ける人の個性が出る部分ですが、切っ先が滑らないようにする安全対策を担ってもいます。突きの際に、面の突き垂れを切っ先が外した時、自然と胴胸に当たる事があります。この時に刺繍があると、切っ先は着地地点からは滑りにくくなり、事故が起きにくくなります。なぎなたでは突きは基本的に刃を寝かして打ち、剣道に比べると咽喉部から左右にも位置がずれやすくなるので、飾りのないベタよりも、飾りを付けたものが推奨される事もあります。

迎え突きの滑り止め

剣道においては、打ち込みの間違った機会であることを示したりするのに、迎え突きという技が使われ、突き垂れか胴胸を抑えるように切っ先を突き付けられる事があります。その際にも胸飾りに刺繍があることで、切っ先が滑らないようになっています。ただし、現在は剣道でも敬意の無い迎え突きの乱用は失礼とされるので、狙って起こるから刺繍があるというよりは、刺繍があるから迎え突きが起きても危険を回避しやすくなる、と考えた方がいいでしょう。剣道のように竹刀の長さが全ての人でほぼ共通していると、意図しなくても迎え突きの状況が発生してしまう事もあります。


なぎなたでは迎え突きをする方は、現代では滅多なことではいらっしゃらないかと思います。そもそも剣道と違ってなぎなたは、繰りこみ繰り出しで間合いが大きく変わる競技ですから、意図の有り無しに関わらず、迎え突きが起こる機会は非常に少ないと言えます。異種試合でも、なぎなたの方がどの武器に対しても間合いが遠いことの方が多いため、される機会は少ないでしょう。

胸飾りの意匠

胸飾りの意匠に関しては、自分の個性で自由に選んでいいと思いますが、公式な場では、文字の入っている物、キャラクターなどが入っている物、武道に不適切であると思われる物などは、使う事を避けた方がいいでしょう。


伝統的なものだと、上に雲がつく物、下に雲がつくもの、直線だけが下に入っている物(ベタ)などがあり、雲にも様々な種類と、左右対称であったりなかったりなどの差があります。さらに雲と線の間には、曙光・燭光(しょっこう)と呼ばれる模様が入る事があり、こちらも亀甲、波千鳥、菖蒲、花菱、麻の葉などがあります。


胸飾りの色

色に関しても、現代では制限される事も少なくなってきていると思います。ただし、昔は力量が伴っていない人の色付き防具は批判される傾向がありました。特に真っ白な防具は目立つため、稽古中の調和が乱れると言われて忌避されていたようです。


縁革

縁革(へりかわ)とは、胴台と胴胸を組む際に胴台の周りを囲う革の事で、胴台の(へり)を摩耗や破損から保護しています。


革を折り返して処理する返しべりと、切ったままの切りっぱなしの2種類があります。

閉じ革・綴じ革

閉じ革(とじかわ)・綴じ革(とじかわ)とは、胴台と胴胸を組む縁革を閉じて(固定して)いる、エスロンあるいは牛革の事です。

胴台

胴台(どうだい)とは、胴打ちを受ける胴の下部の部分の事です。


胴台の後部左右には、胴乳革・胴横乳革・四ツ乳革と呼ばれる、胴紐を通す輪がそれぞれ2つずつ計4つ付いています。上部には長い紐(肩に掛ける側、100cm前後)を、下部には短い紐(腰で結ぶ側、60~70cm前後)を付けます。


胴台には、竹製、ファイバー製、プラスティック製などが存在します。

竹製

竹製の胴台の場合、小幅に割った孟宗竹を琴糸でつなげた胴の原型を作り、表面に水牛の牛革を張って天日干しにし、その上に漆を塗り重ねて仕上げるのが一般的です。 竹胴の作成には技術と時間が必要になるため、ファイバー製・プラスティック製に比べると高級品になります。水牛の皮の厚さと油分は、竹や漆との相性が良く、漆は見た目のためだけでなく、胴に貼っている革を保護する効果もあります。 表面の塗りには、色も仕上げ方法も様々なものがあります。 光沢塗り 最も一般的に使われているもので、黒色の光沢に塗ります。 生地胴 革張りの上から着色をしない胴です。 漆仕上げ 竹の表面に直接漆を塗って仕上げます。 鮫胴 竹の上に鮫皮を張ります。 変わり塗り 漆を何層にも塗り重ねたり他の素材を混ぜて内部の模様を浮き上がらせたりします。


ファイバー製

ファイバー製は、丈夫な紙を何枚も張り合わせ圧縮し樹脂で固めた物が大多数です。 牛革張り・漆塗り仕上げの胴台に似せて作られる事が多いですが、技術の進歩により様々な種類が存在します。セルロースを元にしたバルカナイズドファイバー製のものも存在します。

プラスチック製・大和胴

プラスチック製は、大和胴ヤマト胴)とも呼ばれ、強化プラスティックで形成されています。耐摩耗性・耐久性・耐食性に優れている、ナイロン樹脂が使われる事もあります。

#本型

50本型60本型等の表記がある際は、竹製で数字分の竹の本数が使われているか、ファイバー製・プラスティック製であっても、裏側を竹胴のような形状にして強度を高めている物を指します。

胴台と体の隙間

胴を装着した時、打突の衝撃を和らげるために、胴台と体には隙間が必要です。 剣道では拳一つ分が推奨されていますが、なぎなたでは指一本程度が一般的に使用されます。これは、持ち替え技などを体に近い位置で行う事で機動性を高めるためと、なぎなたでは構えの手の位置の関係上、胴を打つ機会が低いために胴台の衝撃を考える必要性も低いためだとされます。 竹製以外では、後から圧をかけて癖・形を整える事も多少は可能ですが、竹製の場合は調整が難しいため、初めから自分の体にきちんと合った大きさを選ぶことが重要です。


家紋・道場紋

家紋道場紋を胴に入れる方もいらっしゃいます。


一般的には胴胸の刺繍に加える、胴台の左上に金・銀飾りで小さく入れる、胴台中央に侍の鎧のように大きく入れる、などの方法があります。

最近では家紋シールを販売している事もあるので、一時的であればそれを使うことも出来ます。

胴乳革

胴乳革(どうちかわ、どうちちかわ)とは、胴に紐をつける部品の事です。 面乳革と比べて装着がやや難しいため、胴を購入した時に基本的には装着してある事が多いですが、交換の際など、自分でつける必要がある場合もあります。

胴胸の左右に胸乳革(紐通し)が2つ、胴台の左右に胴横乳革(四ツ乳革)がそれぞれ2つ、さらに胴の内側の胴胸と胴台の境目に胴を吊るす用の中輪が一つ、計7つ付いていて、これらを総称して胴乳革と呼びます。

胸乳革・紐通し

胸乳革(むねちかわ、むなちかわ、むねちちかわ)・紐通し(ひもとおし)とは、胴胸上部左右についている、胴紐を結ぶ輪の事です。


胸乳革には、面乳革よりも少し幅が細い平乳革(ひらちかわ)と、丸みと弾力性をつけるために端以外を縫い込んである縫乳革(ぬいちかわ)の、2種類があります。

縫乳革は、縫った時に綿などの詰め物を革の中にしてあることもあります。平乳革の表は黒ツヤがある側、縫乳革の表は縫っていない側です。また、どちらも穴が片方の端に空いており、空いていない側が先端、穴が空いている側が後方になります。付け方はどちらも同じです。


胸乳革の胴への付け方

胴胸には、左右それぞれ三つずつの穴が、計六つ空いています。横長の一つ穴の下に、やや小さめの縦長の穴が二つ並ぶ形になっています。ここでは、上にある横長の穴を①、胴外側の縦長の穴を②、胴中央側の縦長の穴を③とします。


1. 乳革の先端を、穴に入れやすくするため、ほんの少しだけ切り込みます。平乳革は片側から先端反対側に向けて斜めに切り込みを、縫乳革は両側から先端中央に向けて斜めに切り込みを入れます。

2. 胴胸の穴①に、胴の裏側から表側に、乳革先端を通します。

3. 乳革後方の穴が、胴胸の穴③の上に来るまで表側から引っ張ります。

4. 胴胸の穴①に、胴の表側から裏側に、#3の乳革後方の上に重なるように、乳革先端を通します。胴表側から見て、乳革の見える面が全て表になるようにしてください。

5. 乳革後方がずれないように片手で抑え、もう片手で胴裏から乳革先端を引っ張ります。最後に調整しますが、この時点の輪は小さめに3㎝程度にしておきます。

6. 乳側先端を捻ってから、乳革後方の穴に差し込みます。捻った場所は少しだけ隙間をあけておき、まだきつく締めないでください。

7. 胴の裏側から、乳革先端を胴胸の穴②に差し込みます。

8. 胴の表側で、乳革先端を胴胸の穴③に差し込みます。乳革の表が見えるようにしてください。

9. 胴の裏側で、乳革先端を斜め上方向に向け、#6で捻って少しだけ空けておいた隙間に差し込みます。

10. 裏の結び目を片手で調整しながら、表の輪を引っ張って、今度は隙間が無いようにきつく縛ります。

11. 余った先端は切っても構いませんが、短くなりすぎて解けないようにしてください。

12. 逆側も同じようにしますが、鏡写しになるように付けるようにしましょう。

胴横乳革・四ツ乳革

胴横乳革(どうよこちかわ・どうよこちちかわ)・四ツ乳革(よつちかわ)とは、胴横に付ける4つの胴乳革の事です。他の乳革と比べると両端が広くなっていて中間が細くなっています。

胴横乳革の胴への付け方

1. 乳革両端で広くなっている部分の先と根元を切り込みます。両側二辺が細長い六角形になるようにします。切りすぎると後で編みにくくなるので注意してください。

2. 両端を縫い目のある側同士で合わせて、二つ折りのようにします。中央部に折り目を入れる必要はありません。

3. 胴台の表側から、乳革を二つ折りにしたまま両端側を胴台横の穴に通します。

4. 裏に出た革を両方とも縦半分に切り、4本になるようにします。

5. #4の4本を、十字型に胴台裏側に合わせて開き編んでいきますが、最後に締め付けるまで、乳革同士の隙間の余裕は取っておきましょう。

6. #5の4本を、下から右回りに①、②、③、④とした時、①を②の上になるように②と③の間に折り上げます。

7. ②を③の上になるように③と④の間に折り上げます。

8. ③を④の上になるように④と①の間に折り上げます。

9. ④を折り上げ、①の根本ではさまれるように入れます。

10. 四方向に均等にきつく締め付けます。

11. 余分な革は切っても構いませんが、短くなりすぎて解けないようにしてください。


胴紐

胴紐(どうひも)は、面紐と同じように藍染された綿の紐です。


長い紐(肩に掛ける側、100㎝前後)が2本、短い紐(腰で結ぶ側、60~70㎝前後)が2本の、計4本が必要になります。

松竹梅優良可で耐久性の差を示されていることが多く、松か優が最上級となり、硬く切れにくくなります。


胴台についた四ツ乳革には、胴紐を固定します。紐は輪になっている部分を穴に通し、その穴にもう一方の紐の端を通して引っ張ります。乳革と紐が一直線になるように注意し、隙間が出来て緩んだり動かないようにしてください。


有効打突部位

なぎなたでは、胴の左右が有効とされますが、細かい範囲の規定がありません。 これは、なぎなたでは体の位置を頻繁に入れ替えるため、胴が正面を向いている間は小胸下の左右胴台が有効ですが、半身の時は胴が横を向いているため、胴台の中央が有効になるためだと思われます。


なぎなた競技規定  第1章21条.打突部位  全日本なぎなた連盟

  胴 左右胴


装着

なぎなたでは装着順は剣道とほぼ同じになりますが、競技の性質上、胴をやや上に着けたり、胴と体の隙間を小さくしたりと、いくつかの小さな差異があります。

装着順

1. 胴垂れを装着します。 2. 胴の両側を持って、胸に当てます。この際、腕の付け根が開かないような高さにします。 3. 右上紐は背中から左肩上、左上紐は背中から右肩上に、背中中央で交差させて、前でそれぞれ胸乳革(紐通し)に結びます。 4. 下紐を、腰板の上でゆるみが無いように蝶結びにします。縦結びにせず、しっかりと横結びにしてください。

上胴紐の結び方:標準

ほどくときに紐の先端を引っ張るだけで済むので、一般的に使われます。

1. 胴紐を乳革の根元のところに1回転させ巻きつけます。

2. 乳革の輪っかに胴紐で環を作ってくぐらせます。

3. 巻き付けた紐を上に引っ張り上げてきつさと長さを調整します。

4. 余った紐の先は、胴の中に隠しましょう。輪の中にもう一度紐を通して(結びません)、稽古中に胴の中から出ないようにする方もいらっしゃいます。

上胴紐の結び方:簡易

結ぶのが苦手な子供に稀に指導される簡易的な方法がありますが、なぎなたではこの結び方は緩くなりすぎる事が多いので、あまりお勧めしません。

1. 胴紐を胸乳革に通します。

2. 乳革の根元に巻き付け、輪を通します。

3. 胴と肩側の紐を引っ張ってきつくします。

上胴紐の結び方:紐が傷みにくい方法①

1. 胴紐を胸乳革の付け根の外側から巻きます。

2. 下に押さえつけながら一周巻きます。

3. もう一周巻き、紐の下を通します。

4. 輪にして手前から胸乳革に通します。

5. 下の結び目を上に引き上げます。

6. 結び目を押さえながら肩の紐を引っ張ってきつく結びます。

上胴紐の結び方:紐が傷みにくい方法②

1. 胴紐を胸乳革の輪に通します。

2. 胸の内側方向に2周、胸乳革を巻くような形で巻きます。この時、2周目は親指を入れてたるみを作っておきます。

3. 親指で作ったたるみの部分に胴紐を折ったまま通します。

4. 肩側の胴紐を強く引っぱり、形を整えて固定します。

胴の装着における注意点

なぎなたでは胴を打たれる事は稀ですが、突きを安全に受け、機動性を保つためにいくつか注意しておくべき点があります。

胴台と体の隙間

胴の装着時、胴台と体には指一本程度の隙間を確保してください。 打突の衝撃を和らげるために隙間は必要ですが、他武道に比べると狭く、全体的に胴台が丸くなっています。胴が体に近づく事で持ち替え技などを体に近い位置で行え、機動性が高まるほか、なぎなたは半身で行うため、胴技に対して胴の後方を出来るだけ保護する事にも繋がります。

胴の高さ

胴は全体的に上に装着してください。 なぎなたでは、小胸から腕の付け根への隙間が大きくならないようにするのと同時に、面の突き垂れが胴胸に重なる位置になるようにする事が安全上推奨されています。

上胴紐の結び方

上胴紐の結び方は、慣れるまで何度も練習してください。 稽古中に激しい動きをしても簡単には解けない事と、しかし緊急事態には自分以外の人が意図的に素早く解くことが出来る事を両立させるのが大事です。 胴胸上の胴紐の結び方は何種類もあり、地域によって指導方法が違いますが、固結びは動くうちにさらに固く結ばれて行ってしまい、外す事が困難になるので、使わない事が推奨されます。

下胴紐の結び方

下胴紐は、緩みのないように結んでください。 下胴紐は、ピンと張るように腰板の真上で結んでください。また、なぎなたの試合では長めのタスキが背中に使われる傾向にあり、垂れている部分をこの紐の内側に入れて固定する事になっています。その際、紐が緩んでいたり、真ん中でぶら下がっていたりすると上手く固定できず、動きの邪魔になる他、なぎなたが引っかかる恐れがあります。



収納

胴は、基本的には胴垂れと一緒に収納します。

胴と胴垂れを一緒に収納する方法例

1. 胴垂れの表側と胴の表側を合わせて、上側の胴紐で胴垂れと一緒に十文字に結わえて、胴の内側の中輪に通してから結びます。

2. 垂れの脇紐を胴胸の小胸に掛けて結びます(単純に脇紐を巻いたり、大垂れに差し込む方法もあります)。 3. 下側の胴紐を同じく胴胸の小胸に掛けて結びます。

保管前の手入れ

胴を長持ちさせるためには、稽古が終わって収納する時、胴の内側と紐の部分などから、サッと汗を拭きとる癖をつけた方がいいでしょう。 家に帰ったら、紐は必ず一度ほどき、風通しの良い所で陰干ししてください。乾燥し終わって次の稽古まで保管する時には、紐が無駄に絡まないように気を付け、出した時にすぐ使えるようにします。


保管時の形作り

なぎなたでは持ち替え技の関係上、胴と体の隙間は指一本程度と小さくする事が推奨されていますが、ファイバー製・プラスティック製の胴を初めて使う時には、横幅が大きすぎる事があります。 この場合、胴を内側に押し縮め、上下の胴紐をぎゅっと結んで保管することで、自分の体に合った形作りをする事があります。



手入れ

胴は、汚れや匂いが気になってきたら、濡れた手拭いで縫い目に沿って軽く拭いて、柔らかい歯ブラシなどで汚れを落とした後、乾いたタオルで水分を拭き取るのが基本となります。 胸飾り、縁革、閉じ革、乳革などの糸がほつれていたり、革そのものが劣化していたり、胴台がぐらつくようなことがある場合は安全性に問題が有りますので、直ちに修理をお願いするようにしてください。 紐に汗の塩が出てきて固くなったり白くなってしまった場合は、胴から取り外して洗濯しましょう。


垂れ

垂れ、あるいはと書かれ、面垂れや突き垂れと区別するために、胴垂れと呼ばれることもあります。垂れは腰、局部および太もも上部の保護具で、丹田(下腹)に力が入るように体を引き締める役割を果たします。 垂れは一枚と数えます。

構造

胴垂れは、あまり強固な材質は使われず、通常は紺反(こんたん)と呼ばれる藍染めの木綿生地を糸で刺繍する事だけで強度を作っています。 これは、現代なぎなたや剣道では、他の防具部位と異なり、胴垂れの部分に直接打撃を受けないことを前提としているのと、機動性を確保するためですが、胴・小手・脛への打撃が滑った時のために薄すぎるものは避けるべきです。 他の防具と同じように、布団部分は、仕立て方法(番手、芯材、刺繍の間隔、手刺し、ミシン刺し、織刺し、紺革・紺鹿革、クラリーノなど)により、性能や値段に違いがでます。

前帯・腹帯

前帯(まえおび)・腹帯(はらおび)とは、腰に巻く垂れの前上部の事です。

擦れ止め革

擦れ止め革(すれとめかわ)は、前帯が胴との摩擦で擦り切れるのを防止するために、前帯の下部に縫い付ける革や飾り刺し子の事です。

垂れ紐・垂れ帯・脇紐・腰紐

垂れ紐(たれひも)・垂れ帯(たれおび)・脇紐(わきひも)・腰紐(こしひも)とは、前帯から横に伸びている、垂れを締める紐の事です。

帯止め

帯止め(おびどめ)は、前帯と垂れ紐を結んでいる箇所および、そこに入れる糸の事です。丸形(〇)、バツ字(×)、十字(✚)、星形(✱)、飾りなどがあります。

大垂れ

大垂れ(おおだれ・おおたれ)とは、5枚ある胴の垂れのうち、前面にある3枚の大きい垂れの事です。 中央の大垂れには、名札・ゼッケンを装着します。

小垂れ

小垂れ(こだれ・こたれ)とは、5枚ある胴の垂れのうち、後ろ側の2枚の小さめな垂れの事です。

虫掛け

虫掛け(むしかけ)は、前帯と大垂の接続部の補強の事です。

合成皮革や純毛糸等の素材を使用します。

山路・山道・千鳥糸・蛇腹

山路(やまみち)・山道(やまみち)・千鳥糸(ちどりいと)・蛇腹(じゃばら)とは、前帯と大垂・子垂を接続するために糸で装飾された部分の事です。

飾り・垂れ飾り

飾り(かざり)・垂れ飾り(たれかざり)とは、大垂れ上部に縫い付けられた飾り糸の事です。胴本体の飾りに合うように選択される事が一般的です。


装着

胴垂れは基本的には正座をして着け外しする事になっていますが、道場や先生によっては立膝での装着が許されている事もあります。 1. 背筋を伸ばし、息を胸で深く吸い、丹田に適度に力が入るようにします。 2. 胴の下端が垂れ帯の半分幅ほどを隠す位置で、前帯の中央をを腹に当てます。慣れないうちは胴を先に仮当てし、どの位置に垂れが来るべきか確認するのも一つの方法です。 3. 両側の垂れ紐を後ろに回して、交差させます。この際、垂れ紐は腰板のすぐ下か、なぎなたではやや高めにして腰板を少しだけ抑えるようにします。 4. 両側の垂れ紐を前に回して、中央の大垂れの下できつめに蝶結びにします。 5. 蝶結びの輪と余った紐は、しっかりと中央の大垂れと、その左右の小垂れの内側に隠します。

収納

胴垂れは胴と一緒に収納する事が殆どです。 基本的には胴帯側を下に向けます。これは垂れ側が曲がりやすいのに比べて、胴帯側はまっすぐで型崩れしにくいためです。 垂れ紐は基本的に、中央の大垂れを使って纏めるか、帯止めで巻いて纏めます。 胴と一緒に収納する時には、小胸の部分を使って胴に固定する事もあります。 稽古後に紐をきちんと伸ばさないで収納し続けると、しわや癖が出てきて、紐の寿命が非常に短くなります。使用後は必ず端から伸ばして皺を取り、家に持ち帰ったら一度広げて、汗を乾かすようにおきましょう。

手入れ

材質にもよりますが、汚れや匂いが出てきたら、垂れは自分で洗浄する事も出来ます。他の防具よりは難しくないかと思います。

基本的な洗浄

1. 中性の石鹸水を適量に振って、おいておきます。飾りの革の部分は変色する事もあるため、あまり石鹸が被らないように気を付けてください。 2. 水につけて、汚れが出たら軽くすすぎ、スポンジなどで泡を立てて撫で上げます。揉み洗う必要はありません。汚れが落ち切らないようなら擦るよりも、水で何度も流してしまう方が効果的です。 3. 紐の部分は硬すぎないたわしで軽く擦ったり、多少ブラッシングしても大丈夫ですが、他の部分は擦れて白化するので擦らないでください。 4. 風通しの良い所で陰干しにします。 5. 紐はアイロンをかけて整えてください。

補強

垂れ紐は稽古後に丸まったまま放置すると傷みやすくなるため、毎回きちんと伸ばして状態を確認し、定期的に端のほつれを整えるようにしましょう。紐が切れそうになっている場合は、完全に切れる前に、追加の布を当てて自分で糸と針で補強しましょう。 胴垂れはあまり損傷が起きる防具ではありませんが、紐ではなく本体に穴が空いたりした場合や、角が擦り切れてしまった場合は、稽古用の垂れであれば、自分で同じような生地を表と裏から当てて縫い付けましょう。審査用の物である場合は、しっかりと防具屋さんに修理をお願いするか新しい物を購入するのがいいと思います。



垂れ用の名札

胴垂れ中央の大垂れには、所属と名前を示す名札を付けます。 名札は、ゼッケン垂れ名札胴垂名札垂れネームなどとも呼ばれます。稽古着の胸の物を名札、胴垂れの物をゼッケンと区別することもありますが、地域や先生によってまちまちです。 防具稽古の際には面で顔が隠れて、お相手が誰か分かりにくくなるため、名札は出来るだけ装着しましょう。出稽古などでも、指導者の方に自分が誰なのか認識してもらうために重要な要素となります。 公式試合を行う際にはもちろん必須ですが、日本国外での表記の基準は参加大会によって変わる事もありますので、大会ごとに確認してください。 昇級昇段審査の際には、名札を外す事が慣例となっています。

構造

黒または紺色の藍染生地を、袋状に縫ってあります。白い防具を使う場合は、白の生地を使う事もあります。 胴垂れの中央大垂れに合う必要がありますが、細かい大きさの規定はありません。 稽古中に下がってこないよう、通常は上部の内部に紐かゴムを通してあります。

なぎなた大会運営の手引き  第3章1.ゼッケンについて  全日本なぎなた連盟

  試合競技(垂れにつける)   団体名   姓   黒、又は紺地に白色で書く

表記

名札は、日本国内の公式大会や講習会では、上部に横書きで所属(学校、クラブ名、地域、国名など)を、下部に縦書きで姓を示した物を使う事になっています。 基本的に文字は白抜きで行う必要があります。白名札の場合は藍色の表記を使う事もあります。文字の縁取りの糸は藍色か白が使われ、他の色付きは出来るだけ使わない事が殆どです。 白の合成皮革をレーザーでカッティングして文字を切り抜いて縫い付けたもの、糸で直接文字を刺繍した物、クラリーノを付ける物などがあります。書体も特に制限はありませんが、できれば一般的に読む事が出来る物にし、草書体は避けましょう。 国際大会や国際講習会では、姓の漢字表記の代わりに、国旗表記が認められている場合もありますが、公式の場では、使用前に確認をした方がいいでしょう。中央に漢字・カタカナ表記にし、ローマ字表記をさらに下部に付ける事もあります。 非公式の大会や稽古では、自由な意匠の名札を使ってもいいかと思います。クラブや所属先(学校、会社)のロゴを中央に入れたものを使っている事もあります。

装着

胴垂れ中央の大垂れに、下からしっかりと被せます。 試合中に名札が外れた場合は、状況と審判の判断により、注意・反則・退場となる事もありますので、垂れ用の名札は稽古中・試合中には外れないようにする必要があります。 外れやすくなっている場合は、名札のゴムか紐をきつく締めなおすか、一時的に垂れに縫い付けたり、安全ピンでとめる、などの処置を取ってください。

手入れ

垂れ用名札は、他の防具と比べて汚れや汗がつくことが少ないため、洗濯を含めて手入れの機会は少ないかもしれません。上部で名札を絞る紐が切れた時、ほつれや穴が空いた時は、自分で手直し・縫い直しましょう。



小手

小手は、手から腕を保護する防具です。相手の攻撃を守りつつ、自分の武具を上手く捌けるように製作されています。

現代なぎなたでは小手こてコテと書きます。昔の侍の小具足では籠手篭手と書かれていました。 小手は、左右を合わせて一双、一組と数えます。

構造

なぎなたの小手は、持ち替え技を使用する武具の扱い方の性質上、柔軟性と機動性を重視して作られています。全体の構造としては、小手頭と小手布団を筒で繋げる形になっています。

小手頭

小手頭(こてがしら)とは、小手の手の甲から指の先端の部分の事です。


なぎなたの小手頭は、一枚革の上に、指の関節ごとに布団が分けて縫い付けてあり、関節の上には布団が有りません。この1.0~1.5㎝ほどの布団の隙間によって、指を曲げられる可動角度が大きくなっています。 小手頭は、仕立て方法により、性能や値段に大きな違いがでます。外側には鹿革、合成皮革、織刺しなどの素材が使用され、内部の布団部分には鹿毛、合成皮革などが用いられています。


また、なぎなたの小手は、指の部分が三本(親指、人差し指、その他)に分かれています。人差し指を自由に動かせることで、持ち替え技、繰り込み繰り出し、巻き技などを滞りなく行う事が出来ます。

(つつ)とは、小手頭と小手布団をつなぐ手の甲から手首の部分の事で、飾り糸が縦方向に10本ほど縫い付けられており、手首を返す動きを制限しないようになっています。 なぎなたでは、剣道の小手のように生子(けら・なまこ)があると手首の返しが制限されるため、筒は小手頭に直接つながっています。このため、筒は手首ではなく、手の甲を覆う形になります。 一般的には、小手布団の部位を含めて筒と呼ばれる事もあります。 筒の最下部には、小手紐を二回通す穴が左右に一つずつ空いています。

小手布団

小手布団(こてぶとん)とは、手首の下から下腕の3分の2程までを覆う部分の事です。 基本的に他の防具と同じように、紺反(こんたん)と呼ばれる藍染めの木綿生地を糸で刺繍して強度を作っています。仕立て方法(番手、芯材、刺繍の間隔、手刺し、ミシン刺し、織刺し、紺革・紺鹿革、鹿革燻、クラリーノなど)により、性能や値段に大きな違いがでます。

手の甲から5cmの所が小手の打撃の有効範囲になるため、筒からおよそ1cmから5cmまでの小手布団上部には、衝撃吸収のために布団が重ねて縫い込まれています。有効打突を明確にするために、大多数の製品では、この部位の布団の色を、残りの小手布団の部位と別にしてあり、通常は小手頭と同じ色や素材を使用します。 また、最下部5㎝程は腕の動きに形状が合わせられるように刺し(刺繍の間隔)が狭く、その他の部分は衝撃吸収のためにやや刺しが広くなっています。 両側には、小手紐を通す穴が6~8個ずつ小さく空いています。 小手布団の端の方に、名前の刺繍を入れる事もあります。

なぎなた競技規定  第1章21条.打突部位  全日本なぎなた連盟

  小手   左右小手(甲側の手首から5cmのところ)


手の内

手の内(てのうち)とは、なぎなたの柄部を握るための、小手頭の手のひらの部分の事です。 鹿革、合成皮革、クラリーノなどの柔軟性と耐久性のある薄い革で作られています。合成皮革とクラリーノでは、通気性を確保するために、等間隔に小さい穴が空けられている事があります。

小手紐

小手紐(こてひも)とは、小手布団を裏側で筒状につないだ紐の事です。 ガス糸製、人絹製、正絹製などがあり、結び方や小手の大きさに応じて110cmから120cmを選びます。 紐があまりにも長い場合には切って処理する事もあります。

剣道小手との違い

剣道では握りの方向はほぼ変える必要がないために、小手は全体的に硬めになっていて耐久性と衝撃吸収を重視しています。対して、なぎなたでは持ち替えの時や八相の構えなどで、指先や手首の角度を変化させる必要があるため、小手は柔軟性と機動性が重視されています。

小手頭の構造

小手頭の構造が非常に異なります。 剣道の小手は、手の甲から指先までが実際には一つの布団になっていて、上から関節ごとに分け目を縫い付けています。

なぎなたの小手は、一枚革の上に、指の関節ごとに布団が完全に分けて縫い付けてあり、関節の上には布団が有りません。


指の本数

指の本数が異なります。

剣道の小手は二本(親指、その他)です。

なぎなたの小手は、指の部分が三本(親指、人差し指、その他)に分かれています。


生子の有無

生子(けら・なまこ)の有無が異なります。 剣道の小手には、生子があります。生子とは、小手頭と筒の間の盛り上がった部分の事です。剣道では手首と手の甲の保護のために1段か2段に詰め物を多めに入れて固くしています。 なぎなたの小手には、生子がありません。なぎなたでは生子があると手首の返しが制限されるため、小手頭は筒に直接つながっています。このため、剣道では筒は手首を覆いますが、なぎなたでは筒で手の甲を覆う形になり、小手布団で手首を保護する形になります。


雪輪の有無

雪輪(ゆきわ)の有無が異なります。

剣道の小手には、雪輪があります。雪輪とは、親指と人差し指の間や指先など、竹刀の鍔が当たる部分を補強するために縫い付けられた革の事です。

なぎなたの小手頭には、雪輪がありません。これは、なぎなたの柄部が真円ではなく楕円になっているため、脇構えなどの持ち方になった時、雪輪の革の強度がむしろ握りを邪魔してしまうためと、競技用なぎなたには鍔が無いため、雪輪で保護する必要がないためです。

小手布団の親指側の長さ

小手布団の親指側の長さが異なります。

小手の上腕を覆う部分の親指側と小指側には長さに違いがあり、剣道もなぎなたも、親指側が短くなっています。これは、通常小手が体の外側(小指側)から体の内側(親指側)に打たれるためと、内側に向かう腕の動きの制限を少なくするためです。

剣道の小手では、この長さの差が通常3.0~4.0cm程ありますが、なぎなたでは差が1.5~2.0cm程と少なくなっており、小手の小指側の最長部の長さは変わらないものの、親指側の長さが剣道の物よりも少し長くなっています。これは、なぎなたでは小手を打つ角度が剣道とは少し異なり、切っ先がしなった時に上腕に当たるのを防ぐためです。



有効打突部位

なぎなたにおける小手の有効打突部位は、左右小手の甲側の手首から5cmのところとなっています。 審判は、筒の真下のおよそ1cmから5cmまでの、重ねて布団が縫い込まれている部分を有効の判断基準にします。切っ先が5cmの線を越えていない場合には明らかに浅く、物打ちは切っ先から15cmで、小手布団の長さが15cmのため、およそ5cm以上切っ先が小手を通過した場合は深いと判断します。 剣道では小手布団全体が有効とされていますが、なぎなたでは有効範囲が非常に狭くなっています。これは、小手布団の端を有効としてしてしまうと、長物の特性上、切っ先が胴に到達してしまう可能性が高くなるからです。 また、剣道の小手と違い、関節部の保護がやや弱めであるため、正確で強すぎない打突が要求されます。

なぎなた競技規定  第1章21条.打突部位  全日本なぎなた連盟

  小手 左右小手(甲側の手首から5cmのところ)

装着


収納


手入れ



小手下手袋

小手下手袋(こてしたてぶくろ)とは、小手の下につける、手袋です。単に小手下とだけ呼ばれることもあります。 尚、この用具は必須ではなく、規定などにも記載がありません。衛生面を考慮して使う事が可能である道具です。 小手を直接素手に装着し続けると、数多の稽古を経て、汗を吸って蒸れが起こり、匂いが出てきたり、乾燥していく際に皮に変な癖がついたり、小手の痛みの速度が速くなったりします。小手下はそれらの問題を完璧ではないにしろ、かなり防いでくれます。 小手の手入れはなかなか難しいですが、手袋は洗濯も簡単にできます。1990年代後半から剣道の高校生を中心に使用されるようになり、現在ではなぎなたでも使用者もかなり増えています。なぎなたモントリオールでも使用をお勧めしています。長時間の稽古や、数日の講習会がある時は、複数用意しておくと便利です。

構造

綿100%の物が殆どです。 色は黒、紺、白などがあります。自分の小手の色に合わせて目立たないように選ぶのがいいでしょう。 剣道ではミトン型(親指とその他の指にだけ分かれている物)の小手下も存在しますが、なぎなたでは小手の形状が違うのと、細かい指使いが重要ですので、5本指に分かれている物が使われます。 薄さや大きさも様々なものがありますので、きつすぎず緩すぎないよう、自分の使用感に合わせていろいろ試してください。

装着

小手を装着する直前に、普通の手袋のように手につけるだけです。小手と同じように左手、右手の順でつけて、外すときには右手、左手の順番にするのがいいでしょう。 面をつけている際には、小手の上か膝の上に置くようにし、地面には直につけないようにしましょう。小手よりも手袋の方が長い場合は、できれば折り返して小手の外から見えないようにしてください。 稽古終わりに座礼をする際、面と小手を外した後には、手拭いと一緒に面の中に入れておきましょう。 稽古や試合中に胴紐、面紐、脛当て紐などを結びなおす必要が出てきた場合も、小手を外した後、一度手袋は取った方がいいでしょう。手袋を外さない方が結びなおしの時間短縮にはなりますが、しっかり紐を結ぶには摩擦の関係で小手下が邪魔になる事があります。その際には少し時間がかかっても、きちんと手袋も外して小手や膝の上に置いておき、気持ちを落ち着け、全てをしっかりと装着しなおす判断も重要になります。

手入れ

稽古後は汗をたっぷり含んでいますので、かならず毎回洗濯して、しっかり乾燥させるのがいいでしょう。洗濯・乾燥方法は購入した小手下に指示が書いてあると思いますので、それに従ってください。


脛当

古くは臑當と書かれていましたが、現代なぎなたでは、脛当、脛当て、すね当て、すねあて、と書きます。

構造

紺反(こんたん)と呼ばれる藍染めの木綿生地を糸で刺繍して強度を作っています。 防具の布団部分は、仕立て方法(番手、芯材、刺繍の間隔、手刺し、ミシン刺し、織刺し、紺革・紺鹿革、クラリーノなど)により、性能や値段に大きな違いがでます。

膝当て


脛紐

甲当て


装着

収納

手入れ


防具の仕立て方法

防具は、仕立て方法によって性能や値段に大きな違いがでます。

仕立て方法は、どの防具の部位であっても、基本的には同じ名称が使われます。


番手

紺反における、7000番、10000番などの数字は番手(ばんて)といい、生地のキメの細かさを表します。番手が大きくなるほど、キメの細かい重厚な生地となります。

芯材

布団の強度をあげるために、木綿生地の中には芯材(しんざい)と呼ばれる素材を入れます。通常、芯材には毛仙、真綿、不織布などを使います。消臭効果があったり、形状記憶があったりする素材が用いられる事もあります。

刺繍の間隔

刺繍において、二本の平行線の間隔は、柔らかさ、形の作りやすさ、衝撃吸収に影響します。 通常、手刺しは「#分刺し」、ミシン刺しは「#mm刺し」と表記されます(1分は約3mm)。 詰め物の量が同じであれば、数字が小さいほど目が細かくて硬くなり、数字が大きいほど柔らかく衝撃吸収があります。 手刺しは、一分から三分までが一厘刻みに、よく使われています。 ミシン刺しは、2.0 mmから10.0 mmまでが1.0 mm刻みに、よく使われています。 選択の目安 生地や詰め物によって条件は変わる上、自分で使ってみて初めて分かる事も多いですが、刺繍の間隔にはある程度選択の目安があります。

手刺し一分~一分二厘、ミシン刺し2.0 mm~4.0 mm

高級品 生地が非常に硬くなる 防具の耐久度が高い衝撃吸収はやや劣る(打たれると痛い事がある) 薄手になって、見た目が良い体になじむのに少し時間がかかるが、合ってくるとその形状を保てる 普段の稽古に使うよりも、試合、審査、演武などで特別な機会に使われる事が多い

手刺し一分五厘、ミシン刺し5.0 mm

生地が硬くなりぎず、柔らかくなりすぎない 防具の耐久度をある程度確保できるので、手入れ次第で長期間使える 衝撃吸収をある程度確保できるので、力任せの打撃でなければ痛みが少ない 稽古・試合兼用で使われる事が多い

手刺し二分、ミシン刺し8.0 mm

一般的には安価になる 生地は全体的に柔らかくなる 防具の耐久度が低くなり、打撃を受けた箇所の生地が傷みやすくなる 衝撃吸収が高い 厚手になって、見た目がやや悪くなる 柔らかいので使用した時に体にすぐなじむが、一度外すとその後形状を保ちにくい 激しい稽古を長時間するような時には非常に有用 子供用にもよく使われる


手刺し

手刺しは、詰め物をたくさん入れた厚い布団を一針一針、手で刺し何度も糸を締め直していく方法です。 何度も手で刺していくうちに、段々と布団が少しずつ薄くなっていくのと同時に、手刺し特有の弾力が出てきます。また、糸締めすることによって生地に糸が沈み込んで、衝撃吸収と耐久性が高い布団に仕上がります。縫い込む際に力の強弱を付けられるため、刺す場所の細かい弾力性の調整をする事が出来ます。 手刺しはこのように職人さんの手で時間をかけて制作されるため、ミシン刺しに比べて高価です。 手刺しは、使い始めの時にはやや硬く、型がつくまでは動きに制限がかかってしまう事もありますが、使い込むほどにその人に合ってくると言われます。 また、軽量化の為と見た目を良くする為だけに薄く仕上げた手刺しよりも、芯材のしっかりしたミシン刺の方が衝撃吸収力はよくなるので、仕上げはしっかりと確かめた方がいいでしょう。

ミシン刺し・機械刺し・ピッチ刺し

ミシン刺し・機械刺し・ピッチ刺しは、1970年代初頭に剣道が広く普及し、武道具店が大量生産できるようにした際に使われ始めました。 機械では一度縫ったらそれで終わりなので、ミシンの性能によってどれだけ詰め物が出来るかが決まります。したがって、手刺しのように詰め物が厚い状態から縫うことができません。布団はやや厚くなり、弾力性が無く、重たい感じになります。 また、布団の仕込みをする際に中に入れる芯材の芯厚が全て同じになるため、ミシン目の大きいものは布団が厚めになり、小さいものは薄めで張りがある布団に仕上がります。 初心者には、値段・強度・耐久性などを考慮して、ミシン刺しの6~9mm(2~3分刺し)がおすすめされる事が多いようです。

織刺し

織刺し(おりざし)とは、藍染生地に太めの藍染糸を織り交ぜて作られた刺し子生地を指します。 糸を浮かせたりして柄を織り出しているため、衝撃吸収性や通気性に優れています。

紺革・紺鹿革仕立て

紺革(こんがわ)・紺鹿革(こんしかがわ)は、藍で染めた鹿革です。 鹿の革は繊維が幾層にも複雑に絡み合っているため、肌触りがよく、軽く、柔らかく、通気性がよく、伸縮性があり、磨耗に強い上、使い込むほどに所有者の体の特徴にあってくるため、長期間使う事が出来ます。 鹿革は牛革と比べると、天然の油分で水や汚れを弾きやすく、蒸れにくくなっていますが、湿気などにさらされたままだと変色・劣化もしやすくなるため、稽古後には必ず汗を拭きとり、風通しの良いところで陰干しするなどの手入れが必要になります。逆に乾燥しすぎたり、あまりにも使用していなかったりすると、ひび割れが出来たりもします。 鹿の種類によって小唐、中唐、大唐と分類される事もありますが、基本的には過去に鹿の輸入先を伏せるために使っていた防具店用語で現在はあまり使用しません。店によっては鹿の捕獲地名や革の特徴からつけられた別の名称が使われることもあります。

鹿革燻仕立て

鹿革は、(ふすべ)と言って、煙で染めたり加工したりする事もあります。その際は茶褐色などの独特の色合いや模様、香りが付きます。この過程は、鹿革の柔軟性を高め、通気性を向上させるだけでなく、表面がはがれにくくなる効果もあります。 防具では、小手の手の内側に使われる事があります。

牛革・黒桟革仕立て

牛革(ぎゅうかわ)は、鹿革に比べると親水性・通気性が劣っていますが、強度は高くなります。 また牛革は、初めのうちはあまり他の革と見た目には差がないのですが、水に弱く、しみになりやすいため、汗を吸収する部分に使ってしまうと、使っていく 内に風合いが大きく変っていき、劣化が早くなる事があります。 その性質上、通常は胴胸には牛革を、小手には鹿革を使用します。 日本産黒牛の革に、腐敗を防いで耐久性や柔軟性を持たせる加工方法である鞣し(なめし)を施して、漆塗りをする、黒桟革(クロザンかわ)仕立てが高級品として有名です。

クラリーノ・人工皮革仕立て

クラリーノとは、剣道・なぎなた防具用に作られた鹿革風の人工皮革(じんこうひかく)です。 安価で軽く、色落ちがなく、汗に強い素材ですが、磨耗に弱く、伸縮性が少ない素材です。近年は、その値段の手ごろさから、初心者や子供が他の高価な防具を入手する前に、初めての防具の素材として選ばれる傾向にあります。



サポーター


防具袋





武道具店

なぎなたを扱っている武道具店は、剣道に比べると数が限られています。また、2020年前後に九州にあった一番規模の大きかった武具工場が閉鎖され、全般的に入手が難しくなっています。道場によって使う用具の詳細の指定、方向性や癖などもありますので、購入の前には必ず指導者の方に相談をしてください。多くの武道具店では海外発送を扱っていないか、海外発送を扱っていても150cm以上の品は特に高額になります。また、日本の武道具店は対応が日本語のみである事が基本ですので、意思疎通をしっかりできる方が連絡してください。

お問い合わせ

お問い合わせありがとうございます。

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