薙刀(なぎなた)とは
薙刀は長い柄の先に反りのある刀身を装着している日本の武器です。斜めや横ざまに大きく払って切る(薙斬る)、切先で刺す、石突で突く、柄で打つなど、多様な攻撃が出来る点に特徴があります。
その起源 と発達過程には諸説がありますが、一般的には平安時代(794年~1185年)に登場して鎌倉時代(1185年~1333年)に多用されたたと言われています。登場以来、一体多数、馬上での使用、対騎馬、僧兵の主武器と、薙刀は数百年に渡って戦闘において威力を発揮しました。やがて集団での効率性が重視されるようになると戦場では使われなくなっていきましたが、江戸時代(1603年~1868年)には武芸十八般の一つとして、あるいは侍の家を守る女性達の教養や護身術としても嗜まれました。今もなお、古武術として剣術に対する薙刀術などが日本各地に伝承されています。


あたらしいなぎなた
「あたらしいなぎなた」は9つある日本現代武道(柔道、 剣道、 弓道、 相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道)の一つです。
この武道は、第二次世界大戦後GHQから禁止されていた薙刀術を復活させるために、天道流薙刀術、直心影流薙刀術、戸田派武甲流薙刀術、楊心流薙刀術など、多くの薙刀術流派の技を統合し、なぎなた対なぎなたとして競技化したものです。
現在この武道を日本で普及・指導している全日本なぎなた連盟は、1955年に日本剣道連盟から独立した連盟として発足し、1968年に財団法人、2013年に公益財団法人になっています。世界的には国際なぎなた連盟が1990年からなぎなたの普及活動を行っています。
試合競技と演技競技では刃部を竹、柄部を樫の木で作ったなぎなたを、形演武では刃部・柄部共に樫の木で作った薙刀を使用します。なぎなた競技を通じて、集中力を高め、呼吸を整え、反射力や体を鍛え、信念を確立し、日本の礼儀作法を学び、日本文化の理解を深めることができるでしょう。
長尺の武器であるなぎなたは、純粋な力の有無よりも、技の修練を必要とします。
実際に試合競技では、性別、年齢や体格にかかわらない結果が頻繁に出ています。尚、カナダやその他一部の国では性別混合で競技が行われていますが、日本や世界大会での試合では男女別になります。



天道流薙刀術
天道流は、日本の古武術流派の一つです。塚原卜伝門弟の斉藤判官伝鬼房が、鶴ヶ岡八幡宮での百日参篭を終えた1581年(天正九年)11月21日に天流として創始しました。天流は八代下河原恭長によって天道流と改められ、薙刀術を中心に、懐剣、短刀、二刀(小太刀)、鎖鎌、杖、剣術が伝承されています。基本的には太刀を上位として、それぞれの武器でいかに太刀を制するかをお稽古する総合武術となります。およそ150が今も伝わる天道流の形は形試合とも言われ、真剣勝負として行われます。抉り突きの「乱れ」、足を交差させる組み足という技法が特徴の一つになります。戦後には、天道流薙刀術はあたらしいなぎなたの礎の一つとなり、様々な技術が現代武道として組み込まれました。
現在日本では眞月会(修武館)を中心に、お稽古が行われています。
また、なぎなた世界選手権や、国際なぎなた連盟の講習会前後には天道流の講習会も行われることが恒例となっています。
故・田中プライスミヤ子先生が設立した美徳会も、国際的な普及を積極的に行っています。合宿講習会も、カナダでは毎年夏に一週間、フランスでは春に4~5日、アメリカでは春に2日開かれるなど、活発に稽古が行われています。ミヤ子先生の後2025年まで、故・針本佳世子先生が指導をしてくださっていました。





